「SKY-HI “At The Last (feat. STARGLOW)” 歌詞の意味と考察 ― 夢と逆転への覚悟」
はじめに:この曲の背景と位置づけ
「At The Last」(アット・ザ・ラスト)は、2025年6月27日にデジタル配信リリースされた楽曲で、SKY-HIがCEOを務めるレーベル BMSG と TBS によるオーディションプロジェクト 「THE LAST PIECE」 のテーマ曲に起用されています。 (skyhi.tokyo)
このオーディションの結果、グループ STARGLOW が誕生しており、以降、「At The Last feat. STARGLOW」という形でパフォーマンスされることもあります。 (THE FIRST TIMES)
楽曲としては、SKY-HI自身の夢追い・挑戦・葛藤の経験とリンクする内容とされ、歌詞の内容も “逆転劇”“無謀な挑戦”“覚悟” といったモチーフが強く打ち出されています。 (UtaTen)
以下では、歌詞から主要フレーズを引用しながら、それぞれの意味・象徴性・物語性を読み解いていきます。
歌詞の引用と意味・考察
以下、各章ごとに印象深いフレーズを取り上げ、意味を読み解いていきます。
1. 序盤:問い・反発のラップ
誰のゲーム?で誰がPlay?
誰が決めた目の前のレール
勝算は無い だが辞める理由にはならねぇ
Underrated? 上等だ笑い飛ばせ
Call my name 世紀の逆転劇をとくと喰らえ (歌ネット)
ここでは、外部からの設定された“ゲーム”やレール(進路・枠組み)に対する反発、そして自らの道を切り拓こうとする意志が表れています。
- “誰のゲーム?で誰がPlay?” は、あらかじめ決められたシナリオ/ルールに疑問を投げかける問いです。
- “誰が決めた目の前のレール” は、世間/常識/既成の価値観に組み込まれた枠組みを指す言葉でしょう。
- “勝算は無い だが辞める理由にはならねぇ” は、確実な見返りがなくても挑戦を諦めない覚悟を示しています。
- “Underrated? 上等だ笑い飛ばせ” は、低く見られること (“過小評価されること”) を自ら受け入れ、それを跳ね返す強さを語る言葉です。
- “Call my name 世紀の逆転劇をとくと喰らえ” という表現は、自分の名前を呼ばせ、自らが“歴史をひっくり返す物語”を見せるという挑戦感を帯びた宣言と解釈できます。
この冒頭ラップは、「枠組みを疑い」「評価されない現状に抗い」「自分が逆転を起こす」という物語の出発点を描いています。
2. 中盤:足跡・立ち上がりの強さ
どうせハッタリだろ?口ばっかりだろ?
叶わないのが夢物語だろ?
野次馬ども皆Hello
全てひっくり返したこの足跡を見ろ (uta5歌詞動画反応)宝探しなら手伝うぜ少年
勝ちよりも立ち上がった数を誇れ
地べたから這い上がり今雲の向こう
どんな夢もリアルになるのはこの体が知ってる 行こう (UtaTen)
この部分は、批判者への反応、自分の足跡・努力の痕跡、そして立ち上がる回数の価値を語る表現が重なっています。
- “どうせハッタリだろ?口ばっかりだろ?” は、批判・懐疑を受ける言葉を代弁し、それに対する問いと揶揄を含みます。
- “野次馬ども皆Hello” は、周囲の野次・雑音をあえて無視・挨拶を返す態度。むしろそれを足がかりに変える意志が感じられます。
- “全てひっくり返したこの足跡を見ろ” は、自分の歩んできた歴史・成果を見せつけるような強い自己主張。
- “勝ちよりも立ち上がった数を誇れ” は、「成功数」よりも「倒れても起き上がる回数」こそ価値あるものだとする視点。
- “地べたから這い上がり今雲の向こう” は、地面すれすれ(苦境)から再上昇して雲の上(高み)まで至るイメージ。
- “どんな夢もリアルになるのはこの体が知ってる” は、自らの経験・体験を根拠に、夢が現実化する可能性を信じているという言葉。
この節は、「批判の声」「苦しい経験」「立ち上がる力」が混交しながらも、それを自己の物語として力強く肯定していく場面と言えます。
3. 転機・覚悟のフック(サビ)
At Last, I’m here
何度だって全力を抱いて
あの傷を超えて行け
カッコつける余裕はないね
引く気なんてない Judgement Day
最後だって 命を賭けて
運命を変えに行け
もうビビってる場面じゃないぜ
君のその無謀を全て愛そう (歌ネット)
このサビ部分は、曲のクライマックスであり、感情と決意が最も強く表現されている節です。
- “At Last, I’m here” は、「ついにここにいる」「最終的にこの場所まで来た」という到達感・到来感を象徴します。
- “何度だって全力を抱いて あの傷を超えて行け” は、幾度の挫折・痛み(傷)を抱えながらもそれを超えて進む覚悟を語ります。
- “カッコつける余裕はないね 引く気なんてない Judgement Day” は、豪語できる余裕もない、しかし引くことはしない、まさに勝負の審判の日(Judgement Day)というシーンを想起させます。
- “最後だって 命を賭けて 運命を変えに行け” は、最期の瞬間まで命を懸けて挑む覚悟を示します。
- “君のその無謀を全て愛そう” は、“無謀さ”すら肯定し、挑戦そのものを愛し受け入れる態度を語る言葉です。
このサビは、歌い手として、また指導者/先導者としての覚悟と激情を、聴き手へ強く訴えかける役割を担っていると読めます。
4. 弱さ・葛藤・支え
もう何回め?嫌な汗で濡れてるベッド
全て失う夢
もう何周目?ここが終点?ネガティブ振り切る夢中で
財産なんざ叩いた あと命でも賭けるしかないか
毎晩泣いた吐いた でも夢に呪われてはまたもがいた
君はいらないな バイバイ 何回言われちゃ耐えた
落ちかけた崖に咲いた花に手を伸ばした
漫画みたいな展開があった作者ならば神だ
まだ生きてたいな その価値をくれたのは君達だ (歌ネット)
この部分は、苦難・葛藤・孤独・支えの混在を赤裸々に語るパートです。
- “嫌な汗で濡れてるベッド” は、夜・寝室というプライベートな空間での悩みや苦痛を示す具体的描写です。
- “全て失う夢” は、夢を追うがゆえに失敗や喪失の可能性を抱える恐れ。
- “ネガティブ振り切る夢中で” は、ネガティブな思考を振り切って突き進む覚悟を語る言葉。
- “毎晩泣いた吐いた でも夢に呪われてはまたもがいた” は、自分を責め、苦しみ、でも夢に縛られ続けてもがく様を表現。
- “君はいらないな バイバイ 何回言われちゃ耐えた” は、人間関係・支え・拒絶などの葛藤を含む言葉。
- “落ちかけた崖に咲いた花に手を伸ばした” は、崖(危険・限界状態)にひっそり咲く希望(花)に手を伸ばすという象徴性の高いイメージ。
- “まだ生きてたいな その価値をくれたのは君達だ” は、支えてくれる“君達”(ファン/仲間/周囲)への感謝と、彼らが自分に生きる価値をくれたというメッセージ。
このパートは、ただ強さを語るだけでなく、弱さと痛みを正直に受け止め、それでも進もうとする心情を描いた重要な役割を持っています。
5. 最終部・エンディング
諦めたくはないんだ
まだ終われやしない
どんな未来が来るか知らないが
咲くのはここと決めたんだ (歌ネット)綺麗事を叫べ
夢や理想に染まれ
自虐を今日蹴飛ばせ
君のその無謀を全て愛そう
笑われようと笑え
夢や希望を歌え
その全てを掴め
君のその無謀を全て愛そう (uta5歌詞動画反応)
この終盤部分は、決意と応援、そして肯定感をまとめ上げる役割を担っています。
- “諦めたくはないんだ まだ終われやしない” は、途中で諦める選択肢を排し、最後まで続けていく覚悟。
- “どんな未来が来るか知らないが 咲くのはここと決めたんだ” は、未来の不確実性を認めながらも、自分が咲く場所(居場所・ステージ)を今この場所で選ぶという宣言。
- “綺麗事を叫べ 夢や理想に染まれ” という言葉には、「綺麗事=現実離れした理想」だと嘲られがちな夢や理想を、むしろ叫び染まるべきだという肯定。
- “自虐を今日蹴飛ばせ 君のその無謀を全て愛そう” は、自分を責める言葉(自虐)を打ち破り、無謀であること自体を愛そうという強いメッセージ。
- “笑われようと笑え 夢や希望を歌え その全てを掴め 君のその無謀を全て愛そう” は、他者の目を気にせず、自分の信じるものを声高に叫び、それを掴みに行け、という応援のメッセージ。
この終盤は、歌詞の中で最もポジティブで力強い言葉たちで構成され、挑戦者・夢追い人へのエールとして機能しています。
主題・テーマの整理
上述の引用・解釈から、この曲で扱われている主なテーマ・キーワードを以下のように整理できます。
テーマ | 内容/役割 | 補足・関連する表現 |
---|---|---|
挑戦・覚悟 | 競争社会・既成価値観に抗い、自分の道を切り拓く姿勢 | “誰のゲーム?” “運命を変えに行け” “命を賭けて” |
逆転・大勝負 | “逆転劇”“無謀”というモチーフを通じて、勝負に挑むドラマ性 | “世紀の逆転劇” “無謀を愛そう” |
苦悩・葛藤 | 弱さ・痛み・失敗・挫折を正直に受け止める描写 | “泣いた吐いた”“崖に咲いた花”“ネガティブ振り切る” |
支え・感謝 | 支えてくれる人々(ファン・仲間)への謝意、価値付け | “その価値をくれたのは君達だ” |
肯定・再起 | 無謀・夢・理想を肯定し、自らの意思で選び取ること | “無謀を全て愛そう” “綺麗事を叫べ” |
これらテーマは、曲が “夢を追う人への応援歌” として機能するための柱になっており、歌詞の各パートがそれぞれのテーマを強めながら一つの物語を描いています。
“STARGLOW をフィーチャー” の意味・影響
楽曲タイトルに「feat. STARGLOW」が付される場合、それはこの曲がオーディションで誕生したグループ STARGLOW と共同でパフォーマンスされることを示します。実際、STARGLOWは THE LAST PIECE の結果生まれたグループであり、彼らがこのテーマ曲を共に歌うことで、曲の意味がより拡張されます。 (THE FIRST TIMES)
STARGLOW メンバーが “挑む” 形でこの曲を披露すること自体が、歌詞のメッセージ「挑戦・覚悟・逆転」を体現するアクトになります。BARKS の記事によれば、SKY-HI と STARGLOW が 「THE FIRST TAKE」で一発撮りでこの曲を披露するという演出もありました。 (BARKS)
つまり、この曲は単なる歌詞/音楽作品にとどまらず、オーディション参加者からデビューに至る物語そのものを反映する“物語楽曲”としても機能していると言えるでしょう。
総括:語りかける勇気と物語性
「At The Last feat. STARGLOW」は、SKY-HI の過去・現在・未来を内包した覚悟の歌であり、夢を追う者すべてに向けた強いメッセージソングです。歌詞には、問いかけ、葛藤、挑戦、逆転、支え、肯定といった要素が詰め込まれ、それらが一つの物語として力強く紡がれています。
オーディションプロジェクトとの結びつき、STARGLOW との共演、そして聴き手を鼓舞する言葉の数々が、単なる表現を超えた“現実と物語の交差点”を提示しているように思います。
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