汐れいら「センチメンタル・キス」歌詞の意味と考察|“終わらないようで終わってしまった恋が、用意周到に描かれるラブバラード”
1. 楽曲の背景と注目の経緯
- アーティスト:汐れいら(うしおれいら)
- 楽曲名:「センチメンタル・キス」(Acoustic ver. を含む)
- リリース:2022年にデジタル発表。ABEMA恋愛番組『彼とオオカミちゃんには騙されない』のBGMに採用され、大きな話題を呼びました。
歌詞の情景描写のエモさと他者のする解釈の豊かさがZ世代から共感を呼び、Spotifyバイラルチャートなどでも注目を集めました。
(THE FIRST TIMES) - 汐れいら自身は、あえて「歌詞に“正解”はない」として、解釈の余地を残す書き方をしていると語っています。自分だけが知る“秘密”として、聴き手それぞれの想像を自由に尊重したいという姿勢なんです。
(note(ノート))
2. 歌詞の世界を読み解く:豊かなメタファーに隠された「終わらせられない恋」
「熱にうなされてたみたいで…煙草を吸わない君の隙間入り込んでもやさしかったな」
ここでは“煙草=恋愛の熱”として用いられています。
「煙草を吸わない君」とは、恋の温度を失った相手。そこに入り込む自分の存在を“可愛い”と受け止めてくれた優しさ。ただその温度差は、熱が移っていくかのように消えるものだとも言えます。
さらに「短くなってしまった吸い殻の火消し役は私だ」という象徴では、自分から「恋の灯を消しにいっている」ような感覚も…
(note(ノート))
「終わり方がわからなくて 巻き戻した最終回」
恋が終わりそうで終わらない──その状態を“ドラマ”に例えて表現しています。最終回を巻き戻すようなループした気持ち。
そして「結末は距離感だって変わらないのに」と書かれ、心と行動のギャップを痛切に感じさせます。
(note(ノート))
「チャンネルを変えたら 他の人とキスをしてる 主演だったあの人が 脇役になって」
チャンネル=人生の視点の切り替え。自分が“主演”だった関係を、相手は既に“別の物語”に進んでいる——切ない描写です。
(note(ノート))
「映画化されたあのドラマ… エンドロールが見れない」
比喩がさらに深化します。恋はドラマから逃れられず、ついには映画化されるほどのストーリーだった。それが“巻き戻せない現実”としてエンドロールを迎えるという切なさ…
(note(ノート))
大サビ:「なんとなくで一緒にいても きっとなにも変われないのに」…
言葉にする勇気もなく“濁す愛”。「ただそばにいたい」という気持ちが最後の本音。
“ただ情だけだから、後悔なんて役に立たない”というフレーズも、別れたあとに残る苦い余韻を、静かに誠実に描いています。
(note(ノート))
3. 話題の背景と共感の理由
- TikTokを中心に“胸に刺さる曲”としてユーザー生成コンテンツ(UGC)で広まり、バイラルチャートで上位に浮上。
(THE MAGAZINE) - 歌詞の描写が、まるで“かつての恋人とのすれ違いをそのまま切り取ったようだ”というレビューも多数。
(Real Sound|リアルサウンド) - 汐れいらの作品は、すべての曲に主人公や世界観がある。作り手が主人公でもなく、すべての人が主人公になれるような書き方をしていて、解釈の多様性を自ら許容している表現方法が魅力です。
(note(ノート))
4. まとめ:終わらない恋を描いた、一生忘れられないラブソング
汐れいら「センチメンタル・キス」 は、
- 恋が熱く燃えていた時間から、冷めていく抜け殻のような関係性への変化を、“煙草”と“ドラマ”のメタファーで描き切った作品
- 繊細な言葉選びと情景描写が、“忘れられない恋”の記憶を観察しているような静かな余韻を残す
- 作り手が解釈を開いたままにした姿勢が、聴き手ひとりひとりに“私の物語だ”という感覚を与える
という点で、Z世代を中心に“人生の一曲”になるようなエモーショナルな歌になっています。
最後に
あなたにとって、その“センチメンタル・キス”はどんな思い出ですか?
言葉にできなかった告白かもしれないし、涙の止まらなかった夜かもしれない。
それぞれの物語を思い浮かべながら、きっとこの曲とまた、新しい感情を共有できるはずです。
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