さユり「月と花束」歌詞の意味と考察|“絶望の夜に差す光と儚い祈り”
1. 曲の概要
「月と花束」は2018年にリリースされたシンガーソングライター・さユりのシングル。
TVアニメ『Fate/EXTRA Last Encore』のエンディングテーマとして書き下ろされました。
「酸欠少女」をコンセプトにデビューしたさユりらしく、この曲も孤独・痛み・儚さ・それでも願う希望を鮮烈に描いています。
タイトルの「月」と「花束」というモチーフは、暗闇に光を落とす月と、誰かに捧げる花束という相反するイメージを組み合わせ、楽曲の二面性を象徴しているのです。
2. 歌詞引用と考察
2-1. 絶望の中で見上げる月
「消えたい夜を いくつ越えてきたの」
「それでもまだ 私はここにいる」
この冒頭から、“死にたい夜を繰り返しながらも生きてきた”主人公の姿が浮かびます。
月は暗闇の中で静かに光り続ける存在であり、孤独や絶望の中でも自分を照らしてくれる微かな希望の象徴です。
2-2. 花束に込められた祈り
「あなたにこの花束を届けたい」
花束は「誰かに捧げるもの」であり、主人公が大切な誰かに向けて精一杯の気持ちを差し出す行為を表します。
でもその花束は“喜び”よりも“別れや痛み”に寄り添うイメージで描かれていて、生きていることの証明であり、最後の祈りのようでもあるんです。
2-3. 共にあることの切なさ
「あなたと歩んだ日々は幻じゃない」
過去を肯定しようとするフレーズ。
たとえ未来が続かなくても、共に過ごした時間は確かに存在していた。
これは『Fate/EXTRA Last Encore』のキャラクターたちの儚い戦いの物語ともリンクしていて、**「一瞬でも共にあったことの意味」**を強調しています。
2-4. 生と死を抱え込む歌
「消えたい気持ちと 生きたい願いが 同じ胸でぶつかり合っている」
ここで描かれるのは「死にたい」と「生きたい」が同居する矛盾。
まさに“さユり”の音楽の核であり、人間の心の普遍的な揺らぎです。
この曲は、そうした相反する感情を否定せず、“そのままの自分”を描いているからこそ共感を呼ぶのです。
3. タイトル「月と花束」の意味
- 月 … 夜空に浮かぶ孤独な光。主人公を見守る希望であり、孤独の象徴でもある。
- 花束 … 誰かに捧げる祈り。自分の生の証であり、愛や別れを込めるもの。
月=自分の孤独、花束=誰かへの想い。
この2つを並べることで、「孤独を抱えながらも、誰かを思うことで生きる力を得る」というテーマが浮かび上がります。
4. アニメ『Fate/EXTRA Last Encore』とのリンク
この作品は、命を懸けた戦いの中で、過去や記憶、存在の意味と向き合う物語。
「月と花束」はその世界観に深く重なります。
- 戦うこと=生と死の狭間で揺れる心
- 月=絶望の夜を照らす希望
- 花束=仲間や大切な存在への祈り
- 死んでも消えない“共にあった証”
主題歌として、ただのエンディングではなく物語の“余韻そのもの”を表現しています。
5. この曲が響く理由
- 生死の狭間のリアルさ
「消えたい」と「生きたい」が同居する感情は誰もが抱えたことのあるもの。 - 孤独と祈りの象徴性
“月”と“花束”というモチーフが普遍的で深い共感を呼ぶ。 - アニメとの親和性
『Fate/EXTRA』のテーマとリンクしていることで、より深く刺さる。 - さユりの歌声
儚さと力強さを併せ持つ声が、歌詞にリアルな体温を与えている。
6. まとめ
さユり「月と花束」は、
- 消えたい夜を越えながら生きる主人公
- 月に象徴される孤独と希望
- 花束に込められた祈りと証明
- 生と死の矛盾を抱え込む心
を描いた楽曲です。
「月と花束」というタイトルは、孤独を抱えつつも誰かを思い続けることで生きていく人間の姿を象徴しています。
だからこそこの曲は、ただのアニメ主題歌にとどまらず、生きることそのものへの問いかけとして聴く人の胸を打つのです。
👉 あなたにとっての“月と花束”は何ですか?
孤独の中で光をくれる存在? それとも、誰かに捧げたい祈り?
この曲を聴くと、自分自身の「大切にしたいもの」を問い直すきっかけになるはずです。
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